(5) 北十字

にわかに客車の中がぱっと明るくなりまし
た。きらびやかな銀河の水は、音もなく形
もなく流れ、その流れのまん中にぼうっと
青白く後光のさした島が見えるのでした。
「ハレルヤ、ハレルヤ」客車の中の旅人た
ちはつつましく指を組み合わせて祈ってい
るのでした。思わず二人もまっすぐに立ち
あがりました。






銀河鉄道の夜の世界へ