(10) ジョバンニの切符
「切符を拝見します」帽子をかぶった背の
高い車掌が、いつかジョバンニの横に立っ
ていました。ジョバンニがポケットの大き
な紙きれを渡すと車掌は直立不動の姿勢で
「これは三次空間の方からお持ちになった
のですか?。よろしゅうございます。南十
字へ着きますのは次の第三時ごろになりま
す」とていねいにおじぎをしました。
銀河鉄道の夜の世界へ