(15) 新世界高原
汽車はだんだん静かになって、いくつかの
シグナルとてんてつ器の灯をすぎ、小さな
停車場にとまりました。その正面の青白い
時計はかっきり第二時を示し、風もなくな
り汽車も動かず、車の中では黒い服を着た
青年も誰もみんなやさしい夢を見ているの
でした。まもなくすきとおった音色の笛が
なって、汽車は静かに動き出しました。
銀河鉄道の夜の世界へ