(18) さそりの火

川のむこう岸がにわかに赤くなりました。
大きなまっ赤な火がもやされ、その黒いけ
むりは高く天をもこがしそうでした。ルビ
ーよりも赤くすきとおり、リチウムよりも
美しくその火はもえているのでした。
「さそりの火だわ。さそりがやけて死んだ
のよ。そのからだがまっ赤な美しい光にな
って、夜のやみを照らしているのよ」






銀河鉄道の夜の世界へ